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東京高等裁判所 昭和60年(ネ)214号 判決 1985年9月26日

控訴人

右訴訟代理人弁護士

塚田武

被控訴人

右訴訟代理人弁護士

荒木和男

主文

1  原判決主文第一項を次のとおり変更する。

控訴人は、被控訴人に対し、別紙物件目録一の1記載の各土地並びに同目録一の2のⅰ、ⅳ及びⅴ記載の各建物について、昭和五三年一二月二六日遺留分減殺を原因とする所有権持分四五七分の六二の移転登記手続をせよ。

2  控訴人のその余の本件控訴を棄却する。

3  訴訟費用は第一、二審を通じてこれを五分し、その二を控訴人の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。

理由

一  控訴人及び被控訴人の父であり訴外Aの夫であつた訴外Bが昭和五二年一二月二六日に死亡したこと並びに訴外Bが昭和五一年九月一七日に保険者日本生命保険相互会社、被保険者訴外B、受取人訴外Aとして訴外Bが締結した生命保険契約に基づく死亡保険金中三〇〇万円を被控訴人に遺贈し、その余の遺産をすべて控訴人に遺贈する旨の本件遺言をしたことは、当事者間に争いがない。

そして、被相続人の締結した生命保険契約において保険金受取人として指定された特定の相続人が生命保険金請求権を取得するのは、第三者のためにする保険契約の効果としてであつて、被相続人の有する保険金請求権を相続によつて承継取得するものではなく、当該保険金請求権は受取人の固有の財産に属するものであつて、相続財産を構成するものではないのであるから、被相続人は、特定の相続人を保険金受取人として指定した以上、これを遺贈の目的とすることはできないことはいうまでもなく、また、被相続人が受取人として指定された相続人以外の第三者に保険金請求権を遺贈する旨の遺言をしても、それだけでは受取人の変更としての効力を生じるものではない(商法六七七条一項参照)。

したがつて、本件遺言は、受取人を訴外Aと指定して訴外Bが締結した生命保険契約に基づく死亡保険金中三〇〇万円を被控訴人に遺贈するものとする限度において、無効というほかないし、右生命保険契約に基づいて訴外Aが取得した保険金請求権又は支払いを受けた保険金は、相続分の算定に当たつてその全部又は一部を民法九〇三条一項所定の特別受益分として考慮すべきものとすることは格別、同法一〇二九条一項所定の遺留分算定の基礎となる財産に含まれるものではないし、遺留分減殺請求の対象となるものでもないと解するのが相当である。そして、訴外Aが本件遺言の趣旨に従つて右生命保険契約に基づいて受領した保険金中三〇〇万円を被控訴人に支払つたとしても、それは訴外Bの死亡によつて開始した相続又は本件遺言による遺贈とは自ずから別個の法律関係を形成するものであつて、遺留分減殺請求を原因とする本訴請求の成否とはなんら関係がないことはいうまでもない。

二  次に、被控訴人は、六分の一の遺留分を有するところ、控訴人を相手方として浦和家庭裁判所川越支部に遺留分額を返還すべき旨の調停の申立をし、これによつて控訴人に対し遺留分減殺請求の意思表示をしたことは、争いがない。

そこで、本件の遺留分算定の基礎となる財産及び被控訴人の遺留分額について検討する。

1  訴外Bが相続開始当時本件不動産中別紙物件目録一の2のⅳ及びⅴ記載の建物以外の不動産を所有していたこと及び右の当時訴外B名義で存在した預貯金、有価証券、商品、車両・運搬具、売掛金、家庭用動産及び電話加入権の価額が別紙物件目録二記載のとおりであつたことは当事者間に争いがなく、≪証拠≫によれば、別紙物件目録一の2のⅳ記載の建物は昭和二九年二月頃、同目録一の2のⅴ記載の建物は昭和三七年一〇月頃、いずれも訴外Bが新たに建築してその所有権を取得したものであることを認めることができ、また、≪証拠≫によれば、相続開始当時に存在した訴外B所有の現金は、二五万一、九三〇円であつたことが認められる(乙第一号証の相続税修正申告書中には相続財産としての現金の額として三二五万一、九三〇円との記載があるが、それが訴外Aが支払いを受けた前記保険金中の三〇〇万円を含むものであることはその記載自体に照らして明らかであり、右保険金が相続財産に属するものではないことは先に説示したとおりである。)。

控訴人は、訴外Aは訴外Bとともに文房具の販売業を営んできたものであつて、その収益によつて購入し又はその収益そのものである別紙物件目録一の2のⅳ及びⅴ記載の建物並びに右預貯金、有価証券、商品、車両・運搬具、売掛金、家庭用動産、電話加入権及び現金の所有権持分二分の一は訴外Aに属するものであると主張し、≪証拠≫によれば、訴外Aは、昭和二五年に訴外Bと婚姻して以来、訴外B名義で営む文房具の販売業を手伝い、訴外Bの相続財産の維持又は形成に寄与、貢献をしたことを認めることができるけれども、夫婦の一方が婚姻中に自己の名で取得した財産はその特有財産に属し、他方がその取得に実質的に寄与、貢献したとしても、それだけでは当然に右財産が共有財産となるものではないのであつて、せいぜい遺産分割に際して寄与分として考慮されるに過ぎず、このような寄与分は、「被相続人が相続開始の時において有した財産」(民法一〇二九条一項)の一部として遺留分算定の基礎となる財産に含まれるものであるうえ、本件においては、本件遺言によつて訴外Bの全相続財産が控訴人に包括遺贈されているのであるから、訴外Aの寄与分を論ずる余地はない。したがつて、控訴人の右主張は、失当である。

次に、被控訴人は、訴外Bが営んでいた文房具の販売業の営業権が五〇〇万円(年平均利益金額を一〇〇万円とし、超過利益金額五〇万円として、その一〇年分)に評価されるべきであると主張し、相続税財産評価に関する基本通達(昭和三九年四月二五日直資五六号、直審一七号)によれば、営業権の価額は、年平均利益金額に危険率〇・五を乗じた額から企業者報酬及び総資産価額の八割を控除して算出される超過利益金額の一〇年分の年八分の割合による複利年金現価の額と前年度の所得金額とのいずれか低い方の金額によるものとされており、遺留分算定の基礎となる財産の評価方法としても、これに準拠するのが相当であると解されるところ、本件証拠資料中には超過利益金額を基礎とする右算式を適用するに必要な数値を見い出すことはできないので、被控訴人が主張し弁論の全趣旨によつても最小限度のものであると認められる年平均利益金額一〇〇万円を前記通達にいう前年度の所得金額とみなし、これをもつて右営業権の価額とするほかない。

2  そこで、訴外Bの死亡による相続開始時における右財産の価額を算出すると、本件不動産中の別紙物件目録一の1記載の土地並びに同目録一の2のⅰ、ⅳ及びⅴ記載の建物については、原審における鑑定人Cの鑑定の結果による昭和五五年九月一九日時点における評価額合計一億〇、六一七万二、〇〇〇円及び成立に争いがない甲第一六号証(株式会社不動産鑑定コンサルティング作成の鑑定評価書)による昭和五七年一月二二日時点における評価額合計一億三、五九〇万円のそれぞれについて総理府統計局発表の消費者物価指数年報中の住居費(家賃及び設備修繕・維持費)の全国指数によつて相続開始時点への時点修正を施して(前者は八、七〇六万一、〇四〇円、後者は一億〇、四〇五万〇、四二〇円)、その中庸値(九、五五五万五、七三〇円)によることとし、同目録一の2のⅱ記載の建物については、前掲甲第一六号証による昭和五七年一月二二日時点における評価額二〇万円(ただし、持分二分の一分)について前同様の指数によつて相続開始時点への時点修正を施した額(一五万三、一二八円)によることとして、結局、相続開始時点における本件不動産の価額は、合計九、五七〇万八、八五八円となる(なお、訴外Bが別紙物件目録一の2のⅲの建物の持分二分の一を有していたことは当事者間に争いがないものの、原審における証人Cの証言によれば、右建物は相続開始当時において既に現存しなかつたことが認められる。)。

そして、前掲現金の額並びに預貯金、有価証券、商品、車両・運搬具、売掛金、家庭用動産、営業権及び電話加入権の価額は先に説示したとおりであるから、その合計は一、九七八万二、六七九円となり、これに本件不動産の価額を加えると、訴外Bが相続開始時に有した財産の価額合計は一億一、五四九万一、五三七円となる。

3  次に、≪証拠≫によれば、訴外Bは、相続開始当時、支払手形債務二七四万四、八七三円、買掛金債務一五三万一、四〇三円、借入金債務一、九九〇万四、二〇六円(前掲乙第一号証及び第二号証の記載によれば、右借入金債務中の一部には借入期日が訴外Bの死亡後の日時となつているものが含まれているが、前掲証人の証言によれば、右は訴外Bが借り受けた短期の手形貸付が同人の死亡後に書き替えられた結果によるものであることが認められるのであつて、訴外Bが相続開始当時に負担していた債務というを妨げない。)、未払費用等債務四九万〇、一七六円、前受金債務三万四、一〇〇円、預り金債務三〇万四、〇八二円、合計二、五〇〇万八、八四〇円の債務を負担していたことが認められ、この認定を左右するに足りる証拠はない。

控訴人は、訴外Bの葬儀費用及び相続税を遺留分算定の基礎となる財産から控除すべきである旨を主張するけれども、民法八八五条二項の規定の趣旨に鑑みて、これら相続財産に関する費用又はこれに準じるものを遺留分算定の基礎となる財産から控除すべきものと解することはできない。

4  以上によれば、遺留分算定の基礎となる財産の価額は、訴外Bが相続開始時に有した財産の価額合計一億一、五四九万一、五三七円から同人の債務合計二、五〇〇万八、八四〇円を控除した九、〇四八万二、六九七円となる(控訴人は、訴外Bの財産の一部は訴外Aが文房具の販売業に従事することによつて挙げた収益によつて購入したもの又はその収益そのものであるとして、それが訴外Aと同Bとの二分の一宛の共有に属するものであると主張する反面、債務についても訴外Bの負担部分は二分の一に過ぎないことを前提として、債務額の二分の一のみを財産額から控除して遺留分額の算定をすべきものとしているけれども、その正当ではないことは先に説示したところによつて明らかである。)。

したがつて、被控訴人の遺留分額は、右の遺留分算定の基礎となる財産額の六分の一の一、五〇八万〇、四四九円となる。

三  そうすると、被控訴人は、その遺留分額一、五〇八万〇、四四九円につき控訴人が受贈した各財産の価額に按分比例して減殺請求することができるものであるところ、本件不動産については現物返還を求め、その余の受遺財産については価額弁償を求めるものである。

そして、控訴人は、抗弁として減殺を受けるべき限度において遺贈の目的物の価額を弁償する旨の意思表示をするけれども、受遺者が価額弁償によつて遺贈の目的物の現物返還義務を免れるためには、価額の弁償を現実に履行するか又はその弁済の提供をしなければならず、単に価額を弁償する旨の意思表示をしただけでは足りないものと解されるところであるから、控訴人において価額の弁償を現実に履行し又はその弁済の提供をしたことの主張、立証のない本件においては、本件不動産についての現物返還義務を免れない(もつとも、この判決において控訴人に対し本件不動産の現物返還を命じてそれが確定した後においても、控訴人は、その価額弁償をすることによつて、右現物返還義務を免れることができることは、いうまでもない。)。他方、民法一〇四一条の規定によれば、現物返還によるか価額弁償によるかの選択権を有するのは受遺者であつて、現物返還が可能である以上、遺留分権者において当然には価額弁償を求めうるものではないが、本件においては、受遺者たる控訴人が価額弁償をする旨の抗弁を主張しているのであるから、被控訴人が本件不動産以外の受遺財産について価額弁償を求めることになんらの支障はない。

そこで、被控訴人の遺留分額一、五〇八万〇、四四九円を本件不動産の価額(ただし、≪証拠≫によれば、本件不動産中の各土地及び別紙物件目録一の2のⅰ、ⅳ及びⅴの各建物については、債権者米沢信用金庫、債務者訴外B、債権元本極度額一三〇万円の昭和三八年八月二〇日付設定契約による根抵当権及び債権者中小企業金融公庫、債務者訴外B、債権額三〇〇万円の昭和五二年一〇月二〇日付設定契約による抵当権が設定されているので、これら債権額合計四三〇万円を前記九、五七〇万八、八五八円から控除した九、一四〇万八、八五八円による。)とその余の受遺財産の価額一、九七八万二、六七九円とに按分比例してそれぞれから減殺することとすると、本件不動産から減殺すべき額は一、二三九万七、四〇六円、その余の受遺財産から減殺すべき額は二六八万三、〇四三円となり、したがつて、控訴人は、別紙物件目録一の2のⅱ及びⅲの各建物については所有権持分四五七分の三一(ただし、万円以下四捨五入によつて計算。)を、その余の本件不動産については所有権持分四五七分の六二(前同)を被控訴人に現物返還すべく、その余の受遺財産については価額弁償として二六八万三、〇四三円を被控訴人に支払うべきことになる(なお、本件不動産中別紙物件目録一の2のⅱ及びⅲ記載の各建物以外の不動産については既に控訴人のために遺贈を原因として所有権移転登記が経由されていることは当事者間に争いがなく、≪証拠≫によれば、別紙物件目録一の2のⅱ及びⅲ記載の各建物は、訴外Bが養母Dから相続取得したものであつて、建物登記簿上は未だ右D名義のままであることが認められるが、そのいずれであるかによつて遺留分侵害の有無に相違を来たすものではないのはもとより、被控訴人は、遺留分減殺による現物返還の方法として、未だ控訴人のために遺贈による所有権移転登記が経由されていない別紙物件目録一の2のⅱ及びⅲ記載の各建物についても、遺留分減殺を原因として控訴人に対し所有権持分移転登記手続を求めることができる。)。

四  次に、控訴人が昭和五三年一二月二六日以前から本件賃貸建物を第三者に賃貸していることは当事者間に争いがない。

そして、控訴人は、民法一〇三六条の規定の類推適用によつて、被控訴人が遺留分減殺請求の意思表示をした日以降に現実に収受した本件賃貸建物の賃料中別紙物件目録一の2のⅱ記載の建物の賃料については四五七分の三一、同目録一の2のⅴ記載の建物の賃料については四五七分の六二を法定果実として被控訴人に返還すべきところ、控訴人が収受した賃料額がその自認する額(別紙物件目録一の2のⅱ記載の建物につき、昭和五三年一二月二六日から昭和五五年三月三一日まで一か月三万円、同年四月一日以降一か月四万円、同目録一の2のⅴ記載の建物につき、同建物三階部分が昭和五三年一二月二六日から昭和五七年四月三〇日まで一か月五万円、同年五月一日以降一か月八万円、同建物二階部分が昭和五三年一二月二六日から昭和五五年二月二八日まで一か月四万円、同年三月一日から昭和五六年一二月三一日まで一か月六万円、昭和五七年一月一日以降一か月九万円)を超えるものであることを認めるに足りる証拠はない。

そして、控訴人の自認する右賃料額によつて遺留分減殺請求の日の翌日の昭和五三年一二月二七日から本件の当審口頭弁論終結の日の昭和六〇年七月三〇日までの間の賃料額を計算すると、別紙物件目録一の2のⅱ記載の建物については三〇一万三、五四九円、同目録一の2のⅴ記載の建物については一、〇八七万九、〇三三円となり、控訴人は、被控訴人に対して、前者の四五七分の三一の二〇万四、四二〇円及び後者の四五七分の六二の一四七万五、九三〇円の合計一六八万〇、三五〇円を支払うべき義務がある。

五  そこで、控訴人の相殺の抗弁について判断すると、≪証拠≫によれば、控訴人は、昭和五三年六月二六日頃、差し当たつて控訴人、被控訴人及び訴外Aが法定相続分に従つて訴外Bの財産を相続したものとして自己及び右両名のために相続税の申告をし、被控訴人の支払うべき相続税として一五二万八、〇〇〇円を被控訴人に代わつて納付したこと、控訴人は、昭和五五年四月八日頃、本件遺言の趣旨に従つて被控訴人においては訴外Bの遺産中三〇〇万を相続しその余の遺産はすべて控訴人が相続したものとして自己及び右両名のために修正申告をしたところ、先に被控訴人分として納付した相続税のうち一三三万七、九〇〇円が超過納付となつたことの各事実を認めることができ、これに伴つて右超過納付額が被控訴人に還付されたことは当事者間に争いがない。

右事実によれば、被控訴人は、控訴人に対して、控訴人が還付を受けた右一三三万七、九〇〇円については不当利得返還請求権を、残余の一九万〇、一〇〇円については事務管理費用償還請求権を有する(訴外Aが本件遺言の趣旨に従つて受取人を訴外Aと指定して訴外Bが締結した生命保険契約に基づく死亡保険金中より三〇〇万円を被控訴人に支払つたという事実関係の下において、被控訴人が三〇〇万円の遺贈を受けたものとして相続税の申告がされた場合、それだけで当該申告が当然無効であるということのできないことは明らかであるから、右事実関係が被控訴人に一九万〇、一〇〇円の相続税の納付義務を発生させるべき課税要件を充足するかどうかはともかくとして、控訴人は被控訴人のために一九万〇、一〇〇円の相続税を納付したことによつて右同額の事務管理費用償還請求権を取得するものということができる。)ことになるところ、控訴人が昭和五七年三月一九日右債権をもつて被控訴人の本訴請求中の遺留分減殺請求による価額弁償債権と対当額において相殺する旨の意思表示をしたことは当事者間に争いがなく、これによつて控訴人の被控訴人に対する前記二六八万三、〇四三円の価額弁償債務中一五二万八、〇〇〇円の債務は相殺によつて消滅したものということができる。

六  以上のとおりであるから、控訴人は、被控訴人に対して、遺留分減殺を原因として、別紙物件目録一の2のⅱ及びⅲの各建物については四五七分の三一の、その余の本件不動産については四五七分の六二の所有権持分移転登記手続をなすべき義務があり、相殺後の価額弁償債務残額一一五万五、〇四三円及びこれに対する遺留分減殺請求の意思表示をした日の翌日の昭和五三年一二月二七日から支払い済みに至るまで年五分の割合による遅延損害金並びに一六八万〇、三五〇円の法定果実たる賃料の返還義務を負うことになる。

そうすると、控訴人に対して別紙物件目録一の1記載の各土地並びに同目録一の2のⅰ、ⅳ及びⅴ記載の各建物について遺留分減殺を原因とする各六分の一の所有権持分移転登記手続をすべきものとした原判決は、右各不動産につき四五七分の六二を超えて所有権持分移転登記手続を命じた限度において失当であつて、その限りにおいて本件控訴は理由があるから、原判決主文第一項を変更することとし、また、控訴人に対して一四六万七、二四九円の法定果実たる賃料を返還すべきものとした原判決は、その限度においては正当であるから、控訴人のその余の控訴はこれを棄却する

(裁判長裁判官 西山俊彦 裁判官 越山安久 村上敬一)

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